広告やマーケティングに「女性目線」が重要であるただひとつの理由

みなさんの会社やお店では、どんな商品やサービスを提供していますか?

「女性向け」の商品やサービスといわれて思い浮かぶのは、エステやサロン、化粧品などの美容系、ファッション・アパレルなどでしょうか。

いわゆる女性向け商品・サービスでターゲットとなる女性に合わせて、マーケティングや広告をうつのは当然のことですが、女性にも男性にもニーズのある商品やサービスにとっても「女性目線」が重要であることをご存知でしょうか。

今日は広告戦略・マーケティングにおける「女性目線」についてお話していきます。

消費の80%は女性に決定権がある?

この記事を執筆している私も女性ですが、だからといって「女性目線を重視して!」と声高に叫んでいるわけではなく、実はちゃんとした理由があります。

それは、「消費の80%の購買意思決定権は女性にある」という調査結果です。

家庭内消費において誰が意思決定権を持っているか、という調査で「夫・妻・夫婦で決める」の3つの選択肢のうち、8割が「妻が決める」と回答。

※データ引用元 株式会社MaVie

25~30代の夫婦は「夫婦で決める」と答えた割合も増加しているようですが、働く女性の割合が増えていく中で、女性の消費力はさらに高まっていくでしょう。

その一方で、日本では「企業において意思決定を行うのは9割が男性」だというデータもあります。(※日本の女性管理職の割合は1割しかない)

つまり「女性が消費の8割を占める」にもかかわらず「女性たちに提供する商品やサービス意思決定しているのはほとんど男性である」という状態が定着しているのです。

もちろん、女性のターゲット層のことをかなり深く理解して意思決定を行っている管理職の男性もいらっしゃると思います。

でも現実問題、異性である男性が「女性ターゲットのことを理解して、効果的な広告かどうかを見極める」というのは、私がディレクター・クリエイターとして働いている上での日々の体感として「かなり難しい」というのが正直なところです。

(もちろん男性目線の広告の制作や判断はやはり男性の方が得意である、というのは100%認めていますよ!)

弊社に勤めて早7年……。
この男女の広告に対する感覚の違いはなんだろう、と感じ続けたものを、できるだけ論理的に解明していきたいと思います。

男脳と女脳の違いを理解する

誰しも一度が見聞きしたことがある「男脳」と「女脳」という言葉。

女性は直感・感性が優れていて、男性は論理的思考に優れている、というところまではみなさんも理解しているのではないでしょうか。

もう少し深く調べてみると、以下のような違いがありました。

・男性はスペック重視、女性はイメージ重視
・男性は攻撃的、女性は保守的で共感を重視
・男性は変化に鈍感、女性は変化に敏感
・男性は結果重視、女性はプロセス重視
・男性は素早い成果を求める、女性は周りの意見を聞きながら進める

もちろん個人によって差はあり、自分はこの部分は違うなと思うところもあるかもしれませんが、一般的には上記のように言われています。

筆者は女性ですから「男脳」について「そうそう!」と思う部分はありませんが、「女脳」に対して自分や周りの人たちを思い浮かべると頷ける項目がいくつもあります。

たとえば車を購入する際に、男性は「1リッターあたり何km走るか」という燃費、つまりスペックの部分を重視して商品を決定することもあると思いますが、女性の場合「見た目のかわいさ、魅力」で購入を決めるケースも少なくありませんよね。

こういった男女の性別の違いを理解した上で広告やマーケティングを考えると、少し見える世界が変わってくるのではないでしょうか。

女性に受け入れられやすい広告とは

では、「女性に受け入れられやすい広告、マーケティング」とはなんでしょうか。

いくつか広告のコピー例を出していきます。

共感を呼びかける広告

「○○で悩んでいませんか?」
「いつも頑張るあなたへ」

イメージしやすい広告

「ぽかぽかあったまる○○茶」
「マイナス○歳のしっとり肌へ」

口コミ、体験談

「○○で大人気のスイーツ!」
「始めてよかった!○○講座」

体験型、お試し

「安心の3日間お試し!」
「無料で○○体験会」

女性向けの広告で大切なのは、ピンポイントなメッセージで共感を得たり、音を入れることでイメージしやすくしたり、口コミやお試しができることなどで安心感を与えること。そして「その商品やサービスを使って自分や家族が将来どんな風になるのかというストーリーを描くこと」も重要です。

たとえば親御さんであれば、とても厳しくて厳格そうな習い事の先生の元に子どもを預けるよりも、優しくてきちんと教えてくれる愛情豊かな先生の元に預けたい、と思いますよね。

前者だと子どもが毎回習い事から泣いて帰ってきそうですが、後者の場合はいつもニコニコ笑顔で帰ってきてくれそうです。

男性に比べて保守的・共感を重視する女性向け広告の場合、「優しさ、安心感」というのが大きなキーワードになります。

ステレオタイプな広告は敬遠される

ここ数年、「炎上している広告」の多くが「ジェンダーに対するステレオタイプな認識」が原因だというのは皆さんも承知だと思います。

たとえば、「母親が料理をしながら子どもの面倒を見ている家に、父親が仕事から帰って来る」「家族全員が食卓についていて、母親だけが食事や飲み物を運んでいる」などという、女性はこうあるべき、という姿を広告で描いてしまうと、多様性の高まる現代では反発を招きます。

実際、女子高生・女子大学生の4割が、CMや広告に不快感を感じたことがあると答えた調査もあるんだとか。

女性はステレオタイプに描かれたジェンダー像を敬遠する、というのは企業の広告担当の方にとって周知の事実だと思いますが、男性が「当たり前」と思いがちな「女性なら皆ダイエットに興味があるはず」「女性なら毎日化粧をするはず」といったものも、「女性はこうである」という認識のもとに作られた広告だと感じてしまうと、企業やサービスそのものが敬遠されるきっかけになってしまいます。

私自身も女性として生きている上で「男性ならこうだろう」というような思い込みが無いとは言い切れないため、男性側の認識もきっと同様なんだろうと思っています。気をつけていても、男性向け広告を制作する時に「男らしさとは……どうすれば男性っぽく……」とか考えてしまうものなんですよね。

というわけで、広告を制作する際やマーケティングを考える場に女性スタッフが一人もいない、というのは少しリスクがあるのかもしれません。そしてまた、「女性スタッフがいるから大丈夫だろう」という安心感も炎上広告を生む原因になってしまいますので、企業のリスクヘッジのためにも、関わるスタッフ全員が「ステレオタイプは敬遠される」という現代の事情に即した認識を持っていることが重要です。

女性ディレクター・クリエイターに依頼するという手段

ホームページ制作、広告制作会社、WEBマーケティングの会社には、女性ディレクターや女性クリエイターが所属している場合もあります。

もしも社内に「女性目線」を持てる人材が不足していると感じるのであれば、外部にクリエイティブを依頼する際に「女性ディレクターや女性クリエイターでお願いできますか」と指名するのも有効な手段です。

実際、弊社では女性クリエイター・女性ディレクターが所属していますので、適していると判断した場合にはあえて女性スタッフに担当してもらいますし、お客様からのご要望があった場合にも、リソースの許す限りお応えしています。

マーケティングや広告制作に携わって経験を積んだ女性スタッフであれば、「女性を意識した広告」の制作には間違いなく長けていますし、得意分野を存分に生かせる機会でもあります。

もちろん男性のディレクター、クリエイターでも経験豊富な方は「女性目線」をしっかりと認識している方も多いので、男性だとよくない!というわけではないですよ!(クリエイティブな職業は男性の比率が高かったりもしますからね)

まとめ

弊社にご依頼いただくお客様に「ターゲット層はどんな方ですか」とお伺いすると、必ずと言っていいほど(体感では9割以上)「女性です」と言われます。

ターゲット層を決めてからでないと何も始まらないのが商品やサービスの販売、そして広告やマーケティングですから、私たちは常に「女性に適した広告とは……」「男性に適した広告とは……」を考えています。

ジェンダーレス・ジェンダー平等が当たり前になっていく世の中で、性別に特化した広告についてお話しするのはいかがなものか……とも思いましたが、現状「心に響く広告・マーケティング」を行う上では避けられない部分なので、ぜひ皆さんにも一度自社の商品やサービスの広告・宣伝を今回お話ししたような目線で鑑みていただけたらなと思います。

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