Google広告に新機能「パフォーマンス最大化キャンペーン」なるものが追加される件

はじめに

私たち有限会社テイク・シーは「Google Partner」に認定されています。このGoogle Partnerステータスを保持していると、Google社からさまざまなサポートを受けることができます。
先日、Googleのご担当の方と電話でお話しする機会があり、新しい広告キャンペーンについての説明を聞くことができました。正直なところ、私も100%理解はできていませんが理解した限りでは「何やらスゴそう」です。今回はそのGoogle広告における新しいキャンペーンについて書いてみます。

何やらスゴそうな新キャンペーン「パフォーマンス最大化キャンペーン(P-MAX)」

はじめにご理解ください

今回記事でご紹介する「パフォーマンス最大化キャンペーン」はGoogle社のアナウンスでは「2021年の11月3日以降、世界中のすべての広告主が利用できるように提供が開始される」とのことでしたが、執筆時点(2021年11月30日)においてはGoogle広告上の全てのアカウントで利用できるようにはなっていないようです。またこの機能は2021年11月の時点では「ベータ版」(正式版を発売・配布する前に試用のために提供される、開発途上のテスト版)となっており、記事内に記載の内容については情報の加筆修正や別記事での紹介を行う可能性があります。予めご了承いただけると幸いです。

「パフォーマンス最大化キャンペーン(P-MAX)」とは

パフォーマンス最大化キャンペーン・・名前からなんかスゴそうなイメージを受けます。ではそもそもパフォーマンス最大化キャンペーンとはどのようなキャンペーンなのでしょう?。
Googleの公式ヘルプによると、

P-MAX キャンペーン は、Google の多彩なチャネル(YouTube、ディスプレイ、検索、Discover、Gmail、Google マップ)を横断して広告の購入と最適化ができる、新しいキャンペーン タイプです。通常のキーワードベースの検索キャンペーンとの併用に最適で、1 つのキャンペーンで Google が持つ広告チャネルと広告枠をすべて活用し、自動化によりコンバージョン数と獲得価値を高めることができます。

Google のさまざまな広告チャネルをフル活用してコンバージョンを促進できる P-MAX キャンペーン

だそうです。最大のキモになる点は「1つのキャンペーンでGoogleが持つ広告チャネルと広告枠を全て活用」のところになるでしょう。

これがどういうことかと言いますと、従来のGoogle広告ではディスプレイ広告とYoutube広告の2つのキャンペーンで広告配信をしたいという場合、ディスプレイ広告は「ディスプレイ広告専用のキャンペーン」Youtube広告は「Youtube広告専用のキャンペーン」と別々にキャンペーンを作成する必要があり、ターゲティングや予算の設定なども個別に行う必要がありました。

対して、「パフォーマンス最大化キャンペーン」ですと、1つのキャンペーンでディスプレイやYoutubeなどの様々な広告を配信することが可能になるため、個別にキャンペーンを設定しなくてもよい、ということになります。

パフォーマンス最大化キャンペーンのメリットは何?

このパフォーマンス最大化によるメリットはどこにあるのでしょう?Google 社の資料によると下記のようなメリットを提示しています。

1.コンバージョン(成果獲得)につながる顧客をより多く見つける

1つのキャンペーンからGoogle広告の全インベントリにアクセスし、購入経路全体で顧客にアプローチします。また、Googleが消費者をリアルタイムに理解することで、適切なユーザーに適切なタイミングで広告を配信します。

2.予算からより多くの価値を生み出す

Google広告の最も優れた機械学習とアトリビューション技術により、ビジネスのマーケティング目標に合わせて、Googleの全チャネル上で、獲得機会を最大化するように予算配分を最適化します。

3.透明性が高く、豊富なインサイトを手に入れる

どのオーディエンス、クリエイティブ、その他の要因(消費者に関するインサイトと傾向を含む)がパフォーマンスに影響しているかを確認することが可能になり、自動化がどのように機能しているか、またはキャンペーンを改善する方法を理解できます。

4.自動化機能の促進による開始から結果までの短縮化

オーディエンスシグナルやコンバージョン値ルールの追加により自動化機能が促進され、キャンペーンの立ち上げ期間を短縮し、より良い結果をより早く提供します。

・・・これではよくわからないので、資料を元にメリットを細かく分けてみます。

パフォーマンス最大限によるメリットを詳しく解説

パフォーマンス最大化キャンペーンは1つのキャンペーンを起点に広告が配信されるようになることで、下記のような作用が広告のアカウント内で働きやすくなるようです。

●1つのキャンペーンにより多くのデータが集まるようになる。

●キャンペーン管理がしやすくなる。

●より多くのデータが1つのキャンペーンに貯まるため最適化されやすくなる。

●分割してそれぞれ予算設定をしていた各キャンペーンの予算が一元化される。

●予算が一元化されることで、従来機会損失していた部分をカバーするように予算の配分調整が行われる。

●今までキャンペーンを作成しておらず、そのため広告が配信されていなかった広告が配信されるようになることで、広告主、または広告の運用者が今まで見つけきれていなかった、コンバージョンが獲得できる余地を見つけ、自動的に予算が割り当てられ、広告が配信される。

要はデータや予算を一元化し、機械学習により最適化を行いながら幅広い広告面に広告を表示させ、今までより成果獲得の効率を上げることができる、ということになります。
また、運用的なメリットとしては、キャンペーン管理が煩雑にならない、予算管理が簡単になるなどの点をみれば、運用の効率もアップすると考えられます。

ここまでの内容だけで考えるとオールマイティで設定・運用の手間が少なくなる、なかなかスゴいキャンペーンに思えるのですが、果たしてそうなのでしょうか?

懸念点やデメリットについて

現在はベータ版の状態で、かつこのキャンペーンを実際に動かせていないのですが、考えうるデメリットや問題点を挙げてみたいと思います。

まずデータを集約し、一元化されることによって起こりうる弊害は「細分化」が難しくなることでしょう。例えばある1日の掲載結果を分析するとした場合に、どのチャネルにどれくらいの予算を費やし、どのような場所に表示され、こういう結果になった。というものが、それぞれ独立したキャンペーンと比較し、同等もしくはそれ以上に細分化して確認できるのだろうか?というところには少し疑問が残ります。

また、予算も一元化されること、予算配分を機械学習により最適化することにも裏返しのデメリットがあるでしょう。それは「意図的な微調整が難しくなること」です。キャンペーンが独立している時にはこの広告にはこれだけの予算、この時期には別のキャンペーンの予算を厚くする・・などの調整を手で加えることが可能ですが、自動化されれば、そのあたりの調整を行うのは難しくなることでしょう。

しかし、繰り返すようですが現時点ではベータ版の段階ですので、機能のアップデートなどによっては上記のような一元化、自動化によるデメリットや懸念点は解消、改善されるかもしれません。

まとめ

今回はGoogle広告の新機能「パフォーマンス最大化キャンペーン」についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?これから本格的にリリースされ、各所で運用が活発化していけば、さらなるメリットや運用面のポイントなど詳しいこともアナウンスできるようになるかと思います。
個人的には、今後のWEB広告においては従来までの手法や考え方からガラリと変化させてしまう可能性を秘めた機能なのではないか、とも思っています。

現状においては懸念すべき点もあり、またベータ版ゆえに積極的な運用や提案を行うには安定性に不安もあり、躊躇してしまうのも否めないのですが、低予算で設定してテスト配信してみたり、現在運用中ののキャンペーンと並行して運用してみるなど、様子見のところから情報収集とノウハウの獲得に励んでいきたいと考えています。