【プロカメラマンの撮影テクニック】F値を理解して魅力的な写真を撮ろう!

カメラを使っているけどなかなか上手くならない方、これからカメラを上手に使えるようになりたいと思っている方。

まずはF値のことを理解しましょう。

F値は「focal」のFで「焦点の」という言葉から取られています。F値を思い通りに操れるようになるとメインとなる被写体が浮き出ているようなプロっぽい写真を撮れるようにもなります。

ここでは、F値の仕組みについてや、撮影シーンごとにどのようなF値の設定をすれば良いのかを詳しく解説します。今までオートモードでしか撮影をしていなかった方は、この記事を読んで写真の質をワンランクアップさせましょう!

F値(絞り)とは?

F値とはレンズの羽根の開き具合を数値化したもので、絞り値とも言います。

レンズには光の入る量を調整する絞り羽根と呼ばれるものがついており、穴を大きくすれば光はたくさん入り、逆に小さくすると少しだけ光を通すことができるようになります。

その時のレンズの明るさを示す指数がF値です。

F値はF1、F1.4、F1.8、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22のように表されます。

ぱっと見の感覚的にF値の数字が大きい方が光の量が多いと思われがちですが、これが実は逆で、F値の数字が小さい方が光の量が多いのです。慣れないうちはここが困惑するポイントになりますので間違えないように覚えておきましょう。

F値を小さくするとどうなる?

それではF値を変えるとどのような写真になるのでしょうか?まずはF値を小さくした場合をご説明します。

手前や背景がボケる

F値を小さくすると、レンズの絞りが開いて光を取り込む穴が広くなり、被写界深度(ピントが合って見える範囲)が浅くなるので、背景や被写体の手前のものをボカして撮影することができます。

被写体を目立たせたり、ボケ味が大きいドラマチックな写真を撮影したい時にはピッタリです。

F値の数字が小さければ小さいほどボケ具合が大きく綺麗なボケ方をします。レンズによって最小のF値が異なるので、自分が使用しているレンズのF値がどのくらいなのかを確認してみましょう。

手ブレしにくくなる

F値が小さいということは、レンズの絞りの穴が大きくなり、たくさんの光を取り込める状態ということです。

たくさんの光を取り込めると、シャッタースピードを早くしても十分な明るさの写真を撮影することができます。シャッタースピードが早いと、手ブレをしにくくなるということです。

写真が明るくなる

光を取り込む穴が広いため、シャッタースピードとISO感度が同じ設定の場合、F値を小さくしたほうが明るくなります。

F値、シャッタースピード、ISO感度の関係を正しく理解することで、自分が表現したい写真を撮れるようになります。

F値、シャッタースピード、ISO感度について詳しく理解したい方はこちら

ピントを合わせるのが難しくなる

F値が小さいと被写界深度が狭いため、被写体が動いた場合、ピントズレを起こしやすくなってしまいます。

例えば、人間の目をアップで撮影する時には基本的に手前にある瞳にピントを合わせることが多いのですが、F1.2やF1.4くらいF値が小さいと、瞳ではなくまつ毛にピントが合ってしまう事もあります。まつ毛と瞳の差くらい全然気にならなさそうですが、その写真を大きな写真として出力した場合ははっきりとピントのズレがわかってしまい、違和感のある写真となってしまいます。

特に小さいF値でアップの撮影をする際はピントのズレにかなり気を使って撮影をしましょう。

F値を大きくするとどうなる?

次にF値を大きくした場合はどうなるのかをご説明します。基本的にはF値を小さくした場合と逆のことが起こります。順番に整理しましょう。

写真全体がボケずにはっきり写る

F値を大きくすると被写界深度は深くなるので、手前から奥までしっかりとピントが合った写真を撮ることができます。
人数の多い集合写真や人物と背景のどちらにもピントを合わせたい写真にピッタリです。

写真が暗くなる

先ほどの逆で、光を取り込む穴が狭いため、シャッタースピードとISO感度が同じ設定の場合、F値を大きくしたほうが暗くなります。

手ブレしやすくなる

F値が大きいということは、レンズの絞りの穴が小さくなり、光を少ししか取り込まない状態ということです。

光を取り込む量が少ないと、明るい写真を撮りたければシャッタースピードを遅くしなければいけないので手ブレしやすくなるということです。

ピントが合わせやすい

被写界深度が深くなり、広い範囲がはっきり写るので、ピントが合わせやすくなります。

F値が大きいとフォーカスポイント(ピントを合わせるポイント)を気にする必要が無い為、初心者の方にはおすすめです。

F値によるボケ方の違い

それでは、F値を変えて撮るとどのくらいボケ感に違いがあるのかを見てみましょう。

※以下の写真は明るさに変化が出ないよう、シャタースピードを調整して撮影しています。

こちらは一番手前の白い茶碗にピントを合わせて、絞りをF22に設定して撮影したものです。

全体的にシャープに写っており、ピントが合っているように見えますよね。上記で説明した通り、F値が大きいと被写界深度が深い為、全体的にピントを合わせることができます。

次はF10に設定した写真です。

全体的にピントが合っているように見えますが、一番後ろの黒い茶碗が少しぼやけて見えます。

続いてはF5.6で撮影したものです。

黒い茶碗と黄土色の茶碗が少しボケてますよね。

では、F2.8で撮影したものを見てみましょう。

一番手前の白い茶碗以外のものが完全にボケて、白い茶碗だけが浮き出て見えませんか?

このようにF値を小さくすることで、メインの被写体がドラマチックに浮き出たように撮影することができます。

F値が違う写真を並べてみるとこのような感じです。どうですか?わかりやすいでしょう?

ボカして撮影することで印象的な写真を撮ることができるのです。

F値による明るさの違い

続いて、F値を変えて撮るとどのくらい明るさに違いがあるのかを見てみましょう。

F値のみを変更して撮影するとこのくらい明るさに変化があります。

なので、F値、シャッタースピード、ISO感度の関係性を理解しておく必要があるのです。

こんな写真が撮りたい!F値はどうする?

背景をぼかしたい(被写体を目立たせたい)

F値をできるだけ小さい値に設定しましょう。また、ズームレンズであれば限界までズームした状態で撮影しましょう。

流れる水を撮りたい

F値をF10~F20くらいまで大きくしましょう。そうすることで、シャッタースピードを遅くすることができるので、流れる水を撮影することができます。

広大な風景を撮りたい

F値をF10くらいまで大きくしましょう。F10くらいあれば全体にピントを合わせることができるます。また、ズームレンズであればズームを全くしない状態で撮影すると、より広く撮影することができます。

集合写真を撮りたい

列が何列あるのかにもよりますが、5.6~11くらいあると十分でしょう。

星空を撮りたい

夜の撮影となるのでできるだけF値を小さくしてください。絞りを大きく開くことで星を明るく撮影することができます。ただ、シャッタースピードも遅くする必要があるので三脚は必須となります。

まとめ

F値について理解していただけましたでしょうか?F値を理解することでボケ感や明るさを操ることができます。オートモードではできなかった表現の仕方をできるようになることで、写真がもっと好きになり、プロ級の写真を撮れるようになるでしょう。また、撮影シーンに合ったF値の設定をすることで、クオリティの高い写真を撮る事もできます。初心者の方は、まずはF値を理解しワンランク上の写真を撮れるようになりましょう。