【ポートレート撮影に最適なレンズとは?】プロカメラマンのレンズの使い分けを大公開

一眼レフカメラで撮影をする際に、欠かせない存在である「レンズ」。私自身、初めて一眼レフカメラを購入した時、店員さんに「レンズって必ず付けないといけないんですか?」と聞いてしまい笑われたこともあります。

初心者の方はレンズキットを購入することでレンズ選びの手間を省くことができますが、撮影を重ねていくうちに、「もっとボカしたい」「広い画角で撮影したい」「周りと違った表現がしたい」と思ってくることもあるでしょう。

写真撮影において、写真に違いを出すためにはカメラを変えることもありますが、「レンズを変える」ことがもっとも効果的です。

よくプロのカメラマンが撮影中にレンズを変えているのを見たことありませんか?あれは違う種類のレンズを使うことで表現を変えたり、被写体や画角によって適切なレンズへと交換をしているのです。

肩からカメラを2台ぶら下げているのも見たことあると思いますが、最初から違う種類のレンズをそれぞれのカメラにつけることで、レンズ交換の時間を省いているという意味もあります。

一眼レフカメラの購入を考えている方や、現在使っているけど新しいレンズが欲しい!という方に向けた「レンズ選び」について説明していきたいと思います。

レンズの役割は何?

一眼レフカメラを使用する時は、必ずレンズと組み合わせて撮影する必要があります。レンズが装着されていないと、そもそも撮影することができません。

カメラのレンズは撮影時における画角の広さや焦点距離、ボケ味や解像力(画質)を決める上でとても重要な役割を担っています。

良いカメラを選ぶことも重要ですが、同等かそれ以上にレンズ選びをすることが大切だと個人的には思います。

レンズの種類は3種類

一眼レフカメラのレンズは大きく3種類に分けることができます。

ズームレンズ

最も一般的で使いやすいレンズが「ズームレンズ」です。
名前の通りズームをすることができるレンズで、広角から望遠までの画角に対応できる万能タイプのレンズです。

単焦点レンズ

画角を自由に操れるズームレンズとは対照的なレンズで、画角が固定されておりズームができないのが「単焦点レンズ」です。

ズームレンズにはズームできる画角の幅が焦点距離によって18-200mmなどの文字で表されますが、単焦点レンズの場合はズームできる焦点距離の幅がないため、50mmなどの単一数値で表されます。

単焦点レンズは、レンズ自体の構造がシンプルであるため高画質を実現するだけでなく、ボケ味が綺麗で優れた描写を写し出せるというメリットがあります。

背景や被写体より前にあるものが綺麗にボケて、いわゆるプロっぽい写真を写すためには単焦点レンズが必須でしょう。

高倍率ズームレンズ

「高倍率ズームレンズ」は、ズームできる幅を通常のズームレンズより大きく広げたレンズとして1本であらゆる画角に対応できる万能レンズです。

利便性が非常に高く使い勝手は良いのですが、画質や性能面に関しては、通常のズームレンズや単焦点レンズと比較すると残念ながら劣ります。ボケ味や画質を重要視している方にはお勧めしないレンズです。

画角におけるレンズの種類も3種類

レンズ自体の構造における違いをご説明しましたが、ここからは画角・焦点距離における種類を解説していきます。

標準レンズ

標準レンズとは主に35mm換算で24mmから70mm程度を撮影できるレンズです。
日常の撮影シーンにおいて最も使う頻度の高いレンズです。人間の見た目と似た画角で撮影できるためフレーミングがしやすく撮影しやすいというのが特徴で、ポートレイトやスナップ、風景写真などオールマイティに使えるレンズと言えます。

標準レンズの主な特徴は以下の通りです。

・撮影しやすい画角である。
・開放F値が非常に明るいものが多い。

旅行に行く時などは、レンズをいくつか持っていくとなるとそれなりの重量になってしまいますので、標準レンズ1本のみを持っていくと良いでしょう。また、そこにある物を見た目のまま綺麗に写したい場合は標準レンズで撮影することをお勧めします。

広角レンズ

広角レンズとは主に35mm換算で12mmから20mm程度を撮影できるレンズです。
人間の目よりも広い範囲を写すことができるため、広がりのあるダイナミックな写真に仕上げることができます。

広角レンズの主な特徴は以下の通りです。

・より広い範囲を撮影することができる。
・遠近感や立体感を強調することができる。
・被写界深度が深い(ピントの合う範囲が広い)
※被写界深度とはピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のこと。

広角レンズで撮影すると四隅が引っ張られたように歪んでしまうというデメリットもあります。それは広角レンズは丸みを帯びた凸レンズを使用しているからです。

しかし、逆にそのデメリットを利用しダイナミックな写真に仕上げることも可能です。
例えば、ポートレート撮影をするときにモデルの足を長く見せたり、高層マンションを下から上に撮影した場合、下側が広がって上側がすぼまるので、遠近感が強調されダイナミック見せることもできます。

【こんな撮影シーンで使おう!】

ここからは撮影シーンに合わせた広角レンズの活用術をご紹介いたします。
広角レンズをどのようなシーンで使うべきか分からない方も参考にしていただければと思います。

・風景を撮影する時
広角レンズが最も使えるシーンは「風景」を撮影するシーンです。
目に見える範囲より広く写すことができるため、非現実的要素も含んだ表現をすることができます。

・建物を撮影する時
広角レンズは、室内を広く写したい時にも効果的に使うことができます。
建築物を撮影する際には広角レンズは必須のレンズと言えるでしょう。

・星空を撮影する時
一眼レフカメラだからこそ撮影できるシーンとして「星空撮影」があります。
できる限り広い範囲を写すことで、多くの星を画角に収めることができるため、星空撮影において広角レンズを使用することは非常におすすめです。

・狭いところで撮影する時
被写体との距離がとれない状況下では広角レンズを使用すると良いでしょう。

望遠レンズ

望遠レンズとは主に35mm換算で70mm以上を撮影できるレンズです。
遠くを撮影することに特化したレンズですので、これまでに紹介した広角、標準レンズより使うシーンは限られると思います。しかし、子供の運動会や発表会などのイベントにおいて、近距離で撮影できない場合は望遠レンズが大活躍します。

望遠レンズの主な特徴は以下の通りです。

・遠くを撮影することができる。
・圧縮効果で迫力を出すことができる。
・画角が狭いため背景をスッキリすることができる。
・背景がボケやすい。

遠くのものを撮影する際は望遠レンズは必須です。また、背景をボカした撮影をしたい場合は望遠レンズを使うだけで簡単にボカすことができます。近距離のものを撮ることはできないので広い場所や屋外での撮影をよく行う場合はお勧めのレンズです。

【こんな撮影シーンで使おう!】

ここからは撮影シーンに合わせた望遠レンズの活用術をご紹介いたします。
望遠レンズをどのようなシーンで使うべきか分からない方も参考にしていただければと思います。

・運動会や発表会撮影する時
子供の運動会や発表会を撮影する時は、近づいて撮影することはできないですよね。そのような時に遠くからでも撮影することができる望遠レンズが必要になってくるでしょう。

・被写体以外のものをボカして撮影したい時
被写体にフォーカスし、綺麗に周りがボケている写真は望遠レンズだと簡単に撮影できます。ただし、被写体との距離をとる必要があるため狭い室内等だと望遠レンズでの撮影は難しいでしょう。

・ポートレート撮影をする時
ポートレートの撮影をする際に、気をつけなければいけないのが「歪まないレンズ」を選択すること。なぜなら歪むとその人がその人でなくなってしまうからです。「歪まないレンズ」は基本的には中望遠以上(焦点距離85mm以上)のレンズとなってしまいます。

初心者を抜け出せる神レンズ【単焦点50mm】

私が一眼レフ初心者にオススメするレンズは単焦点50mmのレンズです。

多くのレンズラインナップのなかで写真撮影の基本を体感できるレンズだと思います。なぜなら、被写体と距離を多くとれば広角風に、逆に寄ることで望遠風に撮影でき、さまざまな撮影スタイルに対応できる魅力があるからです。

一方で、レンズ特有の個性に縛られることなく、自分でどう撮ったらいいのか、程良い距離感で模索できます。撮影シーンによっては不便さを感じることもあるかもしれませんが、自由に撮影を行なうことが可能で、構造的にシンプルですので、軽量かつコンパクトでありながら、開放F値の小さな優れたレンズが多いのも特徴。

価格も安いものなら1万円台で購入することもでき、このレンズで撮影するだけでプロっぽいダイナミックなボケ味のある写真を撮ることができます。

まとめ

今回は一眼レフカメラのレンズの選び方や特徴をご紹介しました。個人的には、初めてカメラを購入される方はまずは標準レンズを購入することをオススメします。標準レンズで撮り慣れ、画角をある程度理解できた頃に、広角レンズや望遠レンズに手を出すと良いのではないでしょうか。

また、カメラの雑誌などで好きな写真を見つけ、その写真がどのようなレンズで撮影されているのかを確認し、同じレンズを買うのも良いかもしれません。このように人の真似をすることで、自分の経験値やスキルを身につけていくことも大切です。

画角の広さや焦点距離を理解しておくと、カメラやレンズ選びの際に用途に合わせた選択がしやすくなりますので、ぜひ色んなレンズの焦点距離をチェックしてみてください。