インターネットの「キャッシュ」って何?Web初心者さん向けにわかりやすく解説!

「キャッシュ」という言葉、インターネットを使っていると、時々耳にすることがあるかもしれません。「キャッシュをクリアしてください」と案内された経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。でも、その「キャッシュ」って一体何なのか、実はよくわかっていない…という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、Web初心者の方に向けて、インターネットにおける「キャッシュ」の仕組みを、身近な例え話を交えながら、やさしく、丁寧に解説していきます。さらに、Google ChromeやSafariといった主要なWebブラウザにおいて、キャッシュを手動で削除する具体的な方法についても、画像なしでも分かりやすいようにステップごとに紹介します。

キャッシュは「一時的な控え室」

インターネットにおけるキャッシュの仕組みを理解するには、身近な生活にたとえて考えるのがわかりやすいでしょう。

たとえば、あなたが図書館に行って人気のある本を探しているとしましょう。その本はいつも借りられていて、通常であれば図書館の奥にある書庫から取り寄せる必要があります。ですが、図書館の職員さんは、「この本はよく読まれるから、いちいち書庫まで取りに行かずに済むよう、カウンターの近くの『一時的な控え室』に置いておこう」と考えました。

次にあなたが同じ本を探しに来たとき、すでに控え室にあれば、書庫まで取りに行かずにすぐに本を借りることができます。これがまさに、インターネットにおける「キャッシュ」の考え方です。

つまり「キャッシュ」とは、よく使うデータを一時的に保存しておくことで、次に使うときにすばやく取り出せるようにする仕組みのことなのです。

Webページの表示を速くする便利な仕組み

私たちが普段、スマートフォンやパソコンで見ているWebページは、文字、画像、動画、ボタンなど、さまざまな要素でできています。これらのデータは、Webサーバーというコンピュータから、あなたの端末に送られて表示される仕組みになっています。

しかし、毎回すべてのデータをインターネット経由でサーバーから取りに行っていては、時間がかかってしまいます。また、通信量が多くなり、スマートフォンの通信制限に引っかかることもあるでしょう。

そこで登場するのがキャッシュです。一度表示したWebページの情報を、ブラウザがあなたのパソコンやスマートフォンに一時保存しておきます。次回同じページにアクセスした際は、その保存されたキャッシュを使うことで、Webページの読み込みを速くし、より快適な閲覧体験を実現できるのです。

キャッシュの種類

キャッシュにはいくつか種類がありますが、特に重要なのが以下の2つです。

・ブラウザキャッシュ

これは、Google ChromeやSafariなどのWebブラウザが、表示したWebページのデータ(画像、HTML、CSS、JavaScriptなど)を一時的に端末に保存する仕組みです。この記事ではこの「ブラウザキャッシュ」について重点的に解説しています。

・サーバーキャッシュ

こちらは、Webサイトの運営者が、Webサーバーにデータを保存しておく仕組みです。よくアクセスされるページを一時保存することで、サイト全体の表示速度が向上し、サーバーへの負荷も軽減されます。ユーザー自身が操作することはあまりありません。

キャッシュのメリットとデメリット

キャッシュは非常に便利ですが、良い面もあれば注意すべき点もあります。

・Webページの表示が速くなる
 一度訪れたページを再度表示する際に、すべてのデータをサーバーから再取得する必要がなくなるため、読み込み時間が短くなります。

・通信量の削減につながる
 同じ画像やデータを何度もダウンロードしなくて済むため、モバイル回線などの通信量の節約にもなります。

・一部のWebページをオフラインでも閲覧可能
 キャッシュに保存されている情報に限られますが、インターネットに接続されていない状態でも、簡単な内容は表示できる場合があります。

・古い情報が表示される場合がある
 Webページが更新されたのに、古いキャッシュが残っていると、ページが正しく表示されないことがあります。これが「キャッシュをクリアしてください」と案内される理由です。

・プライバシー上のリスク
 キャッシュには閲覧履歴やCookieなども含まれるため、共有のパソコンやスマートフォンを使う場合、他の人に見られる恐れがあります。

・ストレージの圧迫
 キャッシュが長期間蓄積されると、スマホやPCの保存容量が減り、動作が遅くなる可能性もあります。

キャッシュを削除する理由とタイミング

通常、ブラウザはキャッシュを自動で管理していますが、以下のような場合には、手動で削除した方が良いです。

・Webページがうまく表示されない
 最新の情報が表示されなかったり、レイアウトが崩れたりする場合、古いキャッシュが原因であることが多いため、削除することで正常に戻ることがあります。

・エラーが続く
 同じエラーメッセージが何度も表示される場合、キャッシュされたデータが問題を引き起こしていることがあるため、削除すると改善されることがあります。

・プライバシー保護
 公共のPCや家族と共有しているデバイスでは、キャッシュを削除することで個人情報の流出を防ぐことができます。

・デバイスの動作が重い時
 キャッシュデータが大量に溜まっていると、動作が遅くなります。定期的に削除することで、動作の軽快さを取り戻すことができます。

主要ブラウザでのキャッシュ削除方法

Google Chrome(グーグルクローム)の場合

パソコン版:
・Chromeを開き、画面右上の縦に点が3つ並んだアイコン(︙)をクリック
・表示されたメニューから「その他のツール」にカーソルを合わせ、「閲覧履歴を消去…」をクリック
・「期間」のプルダウンから削除したい期間を選ぶ(例:「全期間」)
・「キャッシュされた画像とファイル」にチェックが入っていることを確認
・「データを削除」をクリックして完了

スマートフォン版(Android / iPhone):
・Chromeアプリを開く
・画面右上の縦に点が3つ並んだアイコン(︙)をタップ
・「履歴」→「閲覧データを削除…」をタップ
・「期間」を選び、「キャッシュされた画像とファイル」にチェック
・「閲覧データを削除」をタップして完了

Safari(サファリ)の場合

パソコン版(macOS):
・Safariを開き、画面上部のメニューバーから「Safari」→「環境設定」をクリック
・「詳細」タブを開き、「メニューバーに“開発”メニューを表示」にチェックを入れる
・メニューバーに現れる「開発」メニューから「キャッシュを空にする」を選ぶ

iPhone / iPad(iOS / iPadOS):
・「設定」アプリを開く
・「Safari」を選ぶ
・「履歴とWebサイトデータを消去」をタップ
・確認画面で「履歴とデータを消去」を選んで完了

キャッシュ削除時の注意点

・Cookieが一緒に削除されることがある
 Cookieにはログイン情報などが含まれているため、削除後に再ログインが必要になる場合があります。

・一時的にページ表示が遅くなることがある
 キャッシュ削除後、ページは再びデータを取得し直すため、一時的に読み込みが遅くなることがあります。

・必要な情報まで削除しないように注意する
 削除する項目をよく確認し、保存されたパスワードやフォームの入力履歴など、残しておきたい情報を間違って消さないように気をつけましょう。

まとめ

キャッシュは、Webページの表示を速くし、データ通信を効率化するための非常に便利な仕組みです。ただし、時にはそのキャッシュが原因で情報の表示に不具合が出ることもあります。

そうした場合は、手動でキャッシュを削除して、最新の情報を読み込ませるようにしましょう。本記事で紹介した操作方法を参考に、あなたの使っているブラウザで適切にキャッシュを管理して、より快適で安心なインターネット環境を整えてみてください。